2008/07/26 (Sat) 00:14
《創作ものがたり2008》目次


2008年度《創作ものがたり》の目次です。

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テーマ : 更新報告・お知らせ - ジャンル : 小説・文学

2008/07/26 (Sat) 00:05
「Affection ― 愛情 ―」

 彼女は今、眠っている。腰のマッサージをしている途中で寝てしまったのだ。それにしてもひどい寝相。よく寝れるなぁ、っていつも思う。漢字に表すと“方”という文字。仰向け、ただし、腰がひねられ、足が左右入れ替わっている。ストレッチかヨガのポーズのよう。おまけに首をのけ反らせ、大口を開けている。ここに、肩こりと腰痛をもたらす原因の一端を垣間見ることができる。そんな格好をして、どんな夢を見ているんだろう。僕は、考えてみるともなく考えてみた。だけど僕には分からなかった。まぁ、当然の話だ。

 初めて彼女と話したのは英語のクラスで。「何か書くもの、貸して頂けませんか?」と、横に座っていた彼女は遠慮がちなか細い声で言った。授業初日なのに、と僕は思った。そして、綺麗な子だな、とも思った。おまけに、申し訳なさそうな、恥ずかしそうな、そんな微妙な笑顔付き。こちらも、消しゴムのおまけを付けずにはいられなかった。当然の話だった。
 初めてキスしたのはバーのテーブルで。2人とも酔っていたけど、意識ははっきりとしていたし、キスすることは、なんだかすごく自然なことのように思えた。実際、僕らはすごく自然に唇を重ね合って、そして、くすくす笑い合った。恥ずかしくて笑ったのか、それとも酔っていて笑ったのか。まぁ、なんにせよ、すごく良かった。それだって、当然の話だった。
 好きで、好きで、好きだったから。だから、「好きだよ」って何度も言った。「好きだよ」って言ってほしかったから。今思えば、それはまだ恋だったんだ。僕は不安だったんだ。今なら分かる。今の僕らなら分かる。

 彼女はまだ、“方”の字をえがいて、ぐっすりすやすや眠っている。「好きだよ」って言ってみた。「好きだよ」とは聞こえてこなかった。まぁ、当然の話だ。だけど、良かった。僕は知っているから。聞かなくったって分かるから。と、不意に、彼女が笑った。楽しい夢でも見ているのだろう。幸せそうで何よりだ。僕も笑った。

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2008/07/22 (Tue) 20:52
今、何回目のしゃっくりだろうか

昼食終了後(1時ごろ)より“しゃっくり”が出始める。
ちなみに今日の昼食は、豚カツの上にシーザーサラダが乗せられた一品。ウチの大学の食堂には、時々、なかなか奇抜なメニューが現れる。味も、学食にしてはおいしい方だと思うし、なかなか重宝している。マーボー茄子はまずいけど。

で、次の時間は授業がないため、図書館でレポートの為の資料探し。しゃっくりが止まらない。しんとした館内に、しゃっくりの音が響き渡る。

「ひっ、、、、、、ひっ、、、、、、」

恥ずかしいわ、参考になりそうな資料は見つからないわで、恐ろしく疲れる。エレベーターの中は地獄だった。まぁ、乗らなきゃ良かったんだけど。でも、こんな調子じゃあこれからの授業に耐えられまい、ということで自主休講。まぁ、7月も下旬になると、大した授業しないしね。自分をいたわる優しい僕。

バスに乗って家に帰る。バスが空いていたのは、ちょっとした救い。家に帰って早速、我が家のしゃっくり解決法《スプーン一杯の擦り生姜を一気に飲み込む》を試す。

「、、、、、、ひっく、、、、、、」

飲み損だ。

結局、7時間たった今でも、しゃっくりは止まらない。
明日も自主休講か。

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2008/07/21 (Mon) 17:19
三島由紀夫『潮騒』

舞台は、海に囲まれ、都会と隔絶した純朴な島。
そこで漁師として働き、母と弟を養う青年―新治。
そして海女として働く島の有力者の娘―初江。
2人は惹かれ合い、愛し合う。
ただただひたすらに、ひたむきに。

三島由紀夫の数ある著作のうち、最も有名にして異端な作品。彼の作品といえば、どこか歪(いびつ)で淀んでいるイメージがある。しかしながら、本作に関してはそれが全くと言っていいほど当てはまらない。それどころか、なんとも清々しい。自らの力を自負しながらもなお、おごらず謙虚で、素直さを持っている新治。彼は潮騒さざめく島を愛し、神社に祭られた神々に祈り、初江との肉体的な関係に至らず、道徳を守り通す。そして、初江はただただ見惚れんばかりに美しい。終始一貫して純朴。潮騒耳に心地いい、淡く、純粋な物語。

想えるから、想われる。
大切にしたからこそ、大切にされる。
世界って、意外とシンプルなのかもしれない。
そして、そうあって欲しかったりもする。

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2008/07/18 (Fri) 22:28
“どら焼き”という名の凶器、あるいは奇跡

大学帰り、バスに揺られていた。
いつも通り。

最後列5人掛けシートの一番扉側、つまりは進行方向に向かって一番左側に座り、揺られていた。
いつもは逆側。

始発のバスターミナルから4つ目、自宅の最寄停留所から3つ目の停留所で、外国人が乗ってきた。
綺麗な女性だ。

彼女はシートに腰を落ち着かせると、バッグから“どら焼き”を取り出した。
どら焼き。

おもむろに包装を解き、もくもくと食べていた。
どら焼き。

外国人と、
どら焼き。

すごく良かった。なんだか、ときめいた。
だって、“どら焼き”にあんな使い方があるなんて知らないじゃないか。

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